『八咫烏シリーズ』は、阿部智里氏による大人気和風ファンタジー小説です。日本の歴史や神話をモチーフにした独自の世界観が特徴で、人間の姿に変身できる八咫烏たちが暮らす異世界「山内（やまうち）」を舞台に、宮廷の権力争いや壮大な物語が展開されます。
本記事では、『八咫烏シリーズ』のあらすじや魅力、登場人物の関係性、世界観などを詳しく解説します。また、2024年にアニメ化された『烏は主を選ばない』についても触れていますので、これから作品を読み始める方にもおすすめの内容です。
和風ファンタジーが好きな方、緻密なストーリーを楽しみたい方は、ぜひ最後までご覧ください！
八咫烏シリーズとは？その魅力と概要
八咫烏シリーズの基本情報
『八咫烏シリーズ』は、阿部智里（あべ ちさと）氏による和風ファンタジー小説です。シリーズの舞台は、「山内（やまうち）」と呼ばれる異世界。この世界では、人間の姿に変身できる八咫烏（やたがらす）の一族が社会を築き、貴族制度のもとで暮らしています。
2012年に第一作『烏に単は似合わない』が発表され、第19回松本清張賞を史上最年少（当時22歳）で受賞したことでも話題になりました。その後、シリーズは長編・短編を含めて複数作が刊行され、和風ファンタジーの代表作の一つとして人気を博しています。
作者・阿部智里氏のプロフィール
阿部智里氏は1991年生まれの小説家で、上智大学文学部を卒業後、同大学院で日本文学を研究。大学在学中に『烏に単は似合わない』でデビューし、一躍注目を集めました。
彼女の作風は、伝統的な日本の文化や歴史を下敷きにしながらも、独自のファンタジー要素を取り入れた点が特徴です。また、シリーズを通して巧妙に伏線が張られており、後の作品で過去の謎が明かされる構成も魅力の一つです。
シリーズの受賞歴と評価
『八咫烏シリーズ』は、デビュー作『烏に単は似合わない』が松本清張賞を受賞したことで一躍有名になりました。その後も、シリーズの作品は読者から高い評価を受け、特にファンタジー好きの読者から熱い支持を得ています。
また、2024年には『烏は主を選ばない』がNHKでアニメ化され、シリーズの人気がさらに拡大しました。これにより、原作ファンだけでなく、アニメをきっかけに小説を手に取る人も増えています。
八咫烏シリーズのあらすじと主要作品
第一部のあらすじと主要作品
『八咫烏シリーズ』の第一部は、貴族社会の権力争いや宮廷ドラマを中心に描かれています。物語の鍵を握るのは、「金烏（きんう）」と呼ばれる皇太子・若宮の后選び。この后選びを巡り、四大貴族が陰謀を巡らせる中、物語は意外な方向へと展開していきます。
第一部の主な作品は以下の通りです。
- 『烏に単は似合わない』（2012年刊）
物語の幕開けとなる作品。平凡な貴族の娘・あせびが、若宮の后候補として宮廷に召される。しかし、后選びの裏には恐ろしい陰謀が隠されていた……。 - 『烏は主を選ばない』（2014年刊）
宮廷の陰謀に巻き込まれた若宮・奈月彦と、彼を支えることになる青年・雪哉の物語。後のシリーズ全体に影響を与える重要な一作。 - 『黄金の烏』（2016年刊）
第一部のクライマックス。雪哉が成長し、山内を揺るがす大事件に巻き込まれる。貴族社会の裏側が明らかになり、物語は新たな局面へ。
第二部のあらすじと主要作品
第二部では、第一部の登場人物が成長し、山内の外の世界と関わることになります。ここでは、これまで語られてこなかった「異国」との関係や、山内の支配体制の秘密が明かされていきます。
- 『楽園の烏』（2019年刊）
第一部の結末から数年後、雪哉は異国へと旅立つことになる。彼がたどり着いたのは、山内とは異なる文化を持つ国だった……。 - 『弥栄の烏』（2020年刊）
物語の最終章にあたる作品。山内の未来が大きく変わる出来事が描かれる。シリーズの謎が次々と明かされ、壮大な結末へと向かう。
外伝・短編集の紹介
『八咫烏シリーズ』には、本編の裏側を描く短編集や、サイドストーリーを補完する作品もあります。
- 『玉依姫』（2017年刊）
山内と現代日本が交差する異色の作品。山内の秘密が、現代に生きる少女・志帆の視点から語られる。 - 『烏百花 蛍の章』（2018年刊）
サブキャラクターたちの物語を収録した短編集。物語の補完だけでなく、新たな視点で山内を楽しめる一冊。
登場人物とキャラクター相関図
主要キャラクターの紹介
『八咫烏シリーズ』には、多くの魅力的なキャラクターが登場します。ここでは、物語の中心となる主要キャラクターを紹介します。
- 若宮（奈月彦・なつきひこ）
山内を統治する金烏一族の皇太子。次期当主として期待されるが、政治的な陰謀に巻き込まれていく。表向きは温厚だが、内に秘めた野心と冷徹さを持つ。 - 雪哉（ゆきや）
北領の貴族・大猿家の次男。優れた頭脳を持つが、家の跡取りではないため自由な立場にいた。しかし、若宮との出会いをきっかけに宮廷の権力争いに関わることになる。 - あせび
后選びに参加した貴族の娘。おっとりとした性格で、特に目立つ存在ではなかったが、物語が進むにつれて重要な役割を果たしていく。
四大貴族とその関係性
山内には、金烏を支える「四大貴族」が存在し、それぞれ異なる役割を担っています。
- 大猿（おおざる）家 – 武力を司る名門。雪哉の生家であり、歴代の軍司（軍の最高指導者）を輩出している。
- 猿子（ましこ）家 – 政治と行政を担当する家系。宮廷の中枢で力を持つ。
- 貉（むじな）家 – 情報収集と密偵の役割を担う影の存在。謀略を巡らせることが多い。
- 雀（すずめ）家 – 宗教や文化を司る。神事や祭祀を主導し、山内の精神的支柱となっている。
四大貴族は互いに牽制し合いながらも、金烏に忠誠を誓い、山内の統治に関わっています。しかし、それぞれの家が抱える野心や確執が、物語の大きなテーマとなります。
敵対勢力とサブキャラクター
シリーズが進むにつれて、山内の外部や内部からの敵対勢力が登場します。
- 異国の勢力 – 山内とは異なる文化を持つ国々。外交関係や戦争が物語の鍵を握る。
- 宮廷内の反乱分子 – 金烏の権力に不満を持つ者たちが密かに反旗を翻す。
- 貉家の暗躍者たち – 情報戦を仕掛ける貉家のメンバー。時には味方のように見えても、裏では別の目的を持っていることが多い。
また、主人公たちを支える脇役たちも重要な役割を担っており、物語の深みを増しています。
八咫烏シリーズの世界観と設定
山内（やまうち）の地理と文化
『八咫烏シリーズ』の舞台である「山内（やまうち）」は、八咫烏たちが統治する閉ざされた世界です。山内には四季があり、自然豊かな環境が広がっていますが、その外には未知の世界が広がっており、シリーズ後半では外の世界との関係が描かれていきます。
文化面では、日本の平安時代や戦国時代を思わせる貴族社会が形成されており、特に宮廷では格式やしきたりが重視されています。婚姻制度や政治体制も、歴史的な日本をモデルにしており、読者はリアルな和風ファンタジーの雰囲気を楽しむことができます。
八咫烏の能力と社会構造
八咫烏は、人間の姿と烏（カラス）の姿を使い分けることができる種族です。彼らの社会は「金烏（きんう）」と呼ばれる皇族を頂点とし、その下に四大貴族や一般貴族、平民が存在する階級制となっています。
八咫烏には特有の能力もあり、例えば飛行能力や鋭い視力、暗闇での視認力などが挙げられます。ただし、貴族と平民では能力に差があり、貴族ほど高度な変身や戦闘能力を持つ傾向があります。
山内と外の世界の関係
シリーズが進むにつれて、山内の外に「異国」が存在することが明らかになっていきます。特に第二部では、主人公・雪哉が異国との接触を持ち、山内の歴史や秘密が解き明かされていきます。
異国は山内とは異なる文化や宗教を持ち、時には友好的な交流が行われる一方で、敵対関係に発展することもあります。山内の人々にとって、外の世界は未知の領域であり、物語が進むにつれてその謎が明かされていくのが大きな見どころの一つです。
まとめ
『八咫烏シリーズ』は、阿部智里氏による和風ファンタジー小説で、日本の歴史や神話をベースにした独自の世界観が魅力です。物語の舞台である「山内」では、人間に変身できる八咫烏たちが貴族社会を築き、権力争いや陰謀が繰り広げられます。
シリーズは第一部と第二部に分かれており、第一部では后選びを巡る宮廷ドラマが展開され、第二部では山内の外の世界との関係が描かれていきます。主要キャラクターである若宮・奈月彦や雪哉を中心に、個性豊かな登場人物たちが物語を彩ります。
また、2024年には『烏は主を選ばない』のアニメ化が決定し、さらに注目を集めています。和風ファンタジーが好きな方や、伏線が張り巡らされたストーリーを楽しみたい方にとって、『八咫烏シリーズ』は必読の作品と言えるでしょう。
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